マカは世界で最も高い場所で栽培されている野菜の一つ。
非常に栄養素が高い代償として、一度収穫を行えば数年はその畑が使えないほど。
そんな栽培の大変なマカですが、近年ではちょっとだけ事情が変わってきたみたいです。
このページでは、原産国ペルーの栽培方法から、近年の栽培事情の変化、そして実際に日本で栽培する方法についてまとめてみました。
マカの原産地
マカの原産地は、南米のペルー国内アンデス山脈の標高3000m~4000mの高地です。
特にペルーのフニン県にある「ボンボン高原」(標高4000m~4800m)で栽培されたものは非常に高品質ですが、価格も非常に高くなります。
ボンボン高原で栽培されているマカは富士山(3776m)よりも高く、そこで栽培されているマカは世界で一番高いところで栽培される野菜の1つだといわれています。
ボンボン高原の環境は極めて厳しく、季節は雨季と乾季の2つしかありません。気温は一年中低く、一年を通しての最高温度が20度前後と、北海道とさほど変わらないです。
しかも高所な為、空気は薄く日差しは強い。挙句の果てには風も強く、常に乾燥しています。
ボンボン高原産のマカの特徴として、殆ど化学肥料や有機肥料を使用しておりません。完全無農薬栽培が高品質マカの最低限の条件なのです。
ちなみに、フニン県はマカのおかげで財政が潤っており、マカをより盛り上げようとマカを模した建物が作られています。
先ほどの画像がその建物です。なんだか紫色の人魂に見えなくもないですね。
マカの栽培から出荷まで
種まきから栽培まで
マカの栽培は毎年9月~11月の雨季に種まきがはじまり、収穫時期としては翌年5月~7月となりますので、栽培から収穫時期まで8ヶ月~9ヶ月かかるのが一般的。
マカの種は「プーロ種」と「インプーロ種」の2種類があります。
プーロ種とは穀を落とした状態(お米を稲から取って脱穀、ようは私たちが普段見る状態)であり、芽が出るのがとても速いです。ですが、霜に非常に弱く、一度でも霜が降るとすべてダメになるリスクがあります。
その点、インプーロ種は穀が付いているおかげで霜に強いですが発芽は遅いです。
そのどちらかの種を丁寧に畑にまいていきます。
種を蒔いた後は翌年5月まで無事に育つまで待ちます。
収穫から出荷まで
マカの収穫は片手で持てるクワのようなもので行われます。
その時、どれだけ栄養を蓄えたのかによってマカの色が白、赤、黒に分かれます。
マカの収穫が終わった栽培地は、次の栽培に向けて、約5年間かけて栄養分を蓄えていきます。その5年間の間、畑は放置するのではなく羊やアルカパといった家畜の放牧地として活用されます。
収穫後のマカは、ビニールシートの上で15日間天日干しされます。
その間、マカが水分を含まないよう、夜にビニールシートを被せて対策わとりますが、どうしても水分を含んでしまうものが出てしまいます。そういったダメになったマカはアルパカを始めとした家畜の餌として活用されます。
無事に15日間を乗り越えたマカは葉を取り除かれ、再度15日間天日干しされた後、今度はビニールハウスの中で3か月間天日干しされます。
マカは出荷までにかなりの時間を必要とするんですね。
長い長い天日干しが終わったら、各工場などに運ばれ加工され、日本を始めとした世界各地へ向けて出荷されます。
日本産マカの栽培
近年、完全日本産のマカが誕生したのはご存知でしょうか?
マカは基本的に高所でしか栽培できず、環境が違いすぎる日本では栽培が不可能でした。
ですが、様々なノウハウを得て現在では日本産マカを生産・販売しています。
日本産のマカはペルーと同じく、完全無農薬で収穫まで約8か月かかります。
日本産マカは完全にビニールハウスの中で栽培され、常にビニールハウスの中を適切な状態にしておかねばならず、収穫まで非常に苦労します。収穫時のマカの姿も日本とペルーでは違っていますが、一番の違いは手間暇かけているため、かなり高いです。
マカを自分で育ててみよう
今までマカは完全輸入するしかなかったのですが、最近では自分で栽培できるまでになってきました。(※現在でもペルーでは種などは輸出禁止ですが)
今ではマカの栽培セットを販売しているところも出てきました(種はボリビア産)。
マカの育て方
マカの種をまく時期は日本でも同じで9月~11月で収穫が5月から7月です。
マカを育てる際は畑ではなく鉢などに種を植えましょう。理由は畑だと栄養をガッツリマカに奪われるためです。植木鉢なら栄養が奪われるのは鉢の中だけで済みます。
ですが、植え替えはダメですので鉢の大きさは結構大きめがいいでしょう。
マカを栽培する時は日当りがよく風通しの良いところを確保します。湿気や高温に弱いので、常に涼しく湿気がないように気を付けてください。大体15~25度が目安です。
一番の注意点は虫にマカの葉が食べられないようにするという点。
マカの葉が食べられるとそのマカはそれ以上成長しません。
マカの栽培は非常に難易度が高いですので、もしうまく育たなかったからと言って嘆かないでください。
粗悪品の見分け方
ペルー国内でも有名な栽培地としては、フニン県ボンボン高原が上げられます。この土地で育てられるマカは、他と比べて高品質であると言われています。
フニン県ボンボン高原以外でも、標高が低い土地で栽培されたマカが販売されていますが、大型化してしまい栄養価が低くなってしまうようです。
生産国・生産地が明確に記載されていない商品は粗悪品の可能性があるため、注意が必要です。